2007.04.15 Sunday
3月の公演報告です
3月「桂ロマン亭」での公演報告です。
「―源氏を舞ふ―」の第一回《桐壺 帚木 空蝉 夕顔》から《桐壺 帚木 夕顔》をさせて頂きました。特に《夕顔》は佐賀龍彦さんが源氏を演じ彼の台詞に合わせて舞い「源氏物語」の和歌を彼がアカペラで歌いそれに合わせて舞う。全て無音です。これは《桐壺》もそうです。本当に始めての試み!!不安もあり、お客様が受け入れてくださるのか?1時間30分の公演を飽きずに見てくださるのか?本当に不安でした。導入は佐賀さんの「桐壺」の歌から入りました。そして、語りへと入って行きます。桐壺帝と桐壺の更衣との悲恋です。身分が低いゆえの様々な思惑に翻弄され、心も体も病に冒されてゆく桐壺の更衣。そんな中であっても帝の桐壺の更衣への想いは激しく募って行きます。「死ぬ時は共に・・・」と約束をしたほどの想い。儚く哀しい恋物語。それ故に生まれ出でた源氏の美しさとその身の有様がより輝きを増して行くようです。そして、《帚木》「雨夜の品定め」これは佐賀さんの一人語りです。《夕顔》は1本の演目として仕上げました。
脚色は全て佐賀龍彦さんです。夕顔と源氏は決して添えぬ二人です。逢瀬を重ねることすら許されぬ二人。夕顔は頭の中将の想われ人。ひっそりと隠れるように生きている女。源氏の間近くには決していない女。だからこそより惹かれ想いを募らせていったのでしょう。事の始まりは夕顔が文を渡すのです。潜んで棲んでいる女が何ゆえに文を?もしかしたら源氏のことをずーっと想い憧れていたのでは?だからこそそれと見えた人を「源氏」と確信して文を渡したと、そう思いました。それでなければこの始まりがあまりにも唐突過ぎるのです。そして、始まった忍ぶ恋。忍ぶればこそ想いは激しく募ります。一夜一夜の逢瀬が燃えてゆくのです。そして、夕顔は物の怪により死に絶えます。でも夕顔は幸せだったのではないのかしらと。逢瀬の絶頂の時、想いを通わせた幸せの時に死ねるのは、もしかしたら一番幸せな女なのかと。この世では決して添えぬ恋ですから。本当に多くのお客様に来て頂きました。お昼の部はお断りも致しました。すみません。又の機会に宜しくお願いを致します。アンケートにも「次回楽しみに」「次回必ず」というお言葉もいただきました。これからまだまだ精進を重ね頂いた多くのご意見を大切に次に向かって歩んで行きたいと思います。これからも「―源氏を舞ふ―」を宜しくお願いを申し上げます。